マイナンバー制度とは?
~マイナンバー制度とは~
マイナンバー制度は、平成28年1月からスタートしていますが、どのような制度か意外と把握されていない方も多いのではないのでしょうか。
ニュースやテレビ番組などで、名前だけは知っているけど、何のために使うのか分からない方。従業員のマイナンバーを集めたはいいが、どこに保存したらいいのか分からない方などなど。
そこで、今回のお役立ち記事では、そんな「マイナンバー制度」についてお話しさせていただこうと思います。
会社の実務上の事だけでなく、普段の生活にマイナンバーがどう関わってくるのか、幅広くお話しできればなと思います。
マイナンバーは、大きく分けて二つに分類されます。
一つ目は、個人番号と呼ばれるもので、住民票をお持ちの方、全員に交付される数字12桁のものを指します。
(皆様のご住所に送付されたマイナンバーの通知カードがこれに当たります)
二つ目は、法人に交付される数字13桁のものを指します。
個人番号・法人番号ともにマイナンバーですが、その利用目的やその取扱いが異なってくるので注意が必要です。
まず、個人番号は何のために、設けられたのか。政府のマイナンバーサイトを拝見すると大きく分けて3つの理由が挙げられていました。
「行政の効率化」 「国民の利便性の向上」 「公平・公正な社会の実現」の3点です。
① 「行政の効率化」…国民それぞれに個人番号が交付されることにより、今まで各省庁などで個別管理されていた個人情報が紐づけられるため、行政事務が効率化されます。
② 「国民の利便性の向上」…①により本人確認書類などの事務作業が軽減されるため、国民の行政手続きが簡素化されます。
③ 「公平・公正な社会の実現」…国民の個人情報(所得など)を把握することにより負担を不当に免れることや不正を防ぐことができます。
制度についてあまりよく知らないうちは、「個人情報を政府に管理されて心情的に嫌だ」と思われている方も少なくないと思います。
ご安心ください。基本的には、健全かつ慎ましく生活されている皆さまは、国の方から何かされることはありません。
むしろ、行政手続の簡素化や個人情報保護の面で得られるメリットが大きいと思われます。
反対に、何かやましいこと(税金や社会保障での不正等)をしている人は、それが洗いざらいになり、容易に悪行を働けなくなります。
まさに、公平・公正な社会の実現へと近づくことができます。
今は導入したての段階なので、良いことばかりでなく、少なからず問題は生じているようです。
以下で一例をご紹介します。
私の知り合いに、引越しの際に通知カードを無くしてしまった人がいました。(以下、Aさんと呼びます。)
Aさんの話によると、再発行は引越し前の役所でしかできず、さらにそれを持って引越し後の役所で住所変更をするといった、かなりの手間がかかったようです。
その人がなぜ通知カードを、時間をかけてでも手に入れようとしたかといいますと、NISAの口座を開設するためでした。
ここでNISAとは、ご存知の方も多いと思いますが、少額投資非課税制度のことです。
NISAは株式等の投資に際して、売却益や配当への課税を、年間120万円を上限として非課税とする有利な制度です。
そしてこれは、一人につき一口座しか開設することができません。
では、次に、マイナンバーはどのような場面で必要となるのでしょうか。
社会保障、税、災害対策の行政手続きで必要となります。具体的には、以下のような手続きで必要となってきます。
・雇用保険被保険者資格取得届
・雇用保険被保険者資格喪失届
・源泉徴収票
・確定申告書(平成29年1月以降提出分から)
・給与支払報告書(平成28年1月以降の給与について)
・報酬、料金、契約金の支払調書(税務署向けのもののみ)
上記に挙げた書類は一部となります。今年(平成28年)からマイナンバーの記載が必要となるもの、平成29年以降その記載が必要となるもの、そもそも記載不要となるものなど多岐にわたっているため、注意が必要となります。
経営者の方でしたら、従業員や支払調書を提出する必要のある相手などのマイナンバーを収集する必要があります。その際、注意が必要となるのが、利用目的の明示・マイナンバーの安全管理措置(保管・管理の徹底)・取扱い担当者の限定となります。
次に、法人番号についてご説明します。法人番号と個人番号の違いは桁数だけでなく、だれでも利用できる点となります。
個人番号は原則本人以外利用できませんが、法人番号はインターネットを通じてだれでもどの会社であっても確認できます。
なぜ、このような違いがあるのかというと個人番号と法人番号とでは、利用目的が大きく異なるからです。
各法人に番号を付すことにより行政手続きを簡素化することだけでなく、民間での利用を重きにおかれています。
例えば、法人番号のインターネット公表サイトでは、商号・名称だけでなく所在地でも検索できるため新規営業先の把握ができたり、取引先などを法人番号で管理することにより法人番号での名寄せが可能となるため業務の効率化が図れます。
以上のように、法人番号は個人番号と比較して、業務上メリットのある制度となっています。
マイナンバーは、個人情報を政府に管理されるため、あまり良い感情を持っていない方もいらっしゃるかもしれません。しかし、マイナンバーの管理を誤ると罰則も設けられているため、今後注意深く取り扱っていく必要があります。臭いものには蓋をせず、適度な接し方をとられる事が望ましいと思います。
分からない事があれば、弊所や社労士などに遠慮なくご質問してください。