個人事業主の経費はどこまで認められる?よくある間違いとは?
こんにちは!元国税調査官の福元です。
皆さんの中に「確定申告書に受付印を押してもらった=申告内容が認められた」
と思っていらっしゃる方はいませんか?
「経費に該当するか分からないものも含めて申告してみたが
税務署から何の連絡もこないので大丈夫」と思っていませんか?
実はそれ、そのまま毎年申告し続けたら後々大変なことになるかもしれません。
今日は確定申告書を提出してから実際に税務調査を受けることになるまで
数か月~数年のタイムラグがあること、具体的な経費の例などをご紹介したいと思います。
確定申告期である2~3月は、税務署の職員総動員で申告書の受付、入力、還付金の振込業務などにあたります。
申告期限の間際に税務署に行かれたことのある方はご存じかもしれませんが、
まるでここは有名ラーメン店かと錯覚を起こしそうになるほどの行列がどこの税務署でも発生します。
それに加えてご自宅などから電子で申告される方の申告書も数分おきに届く、そんな状況です。
申告書の中には必要な書類がついていなかったり、還付金の振込口座が記入もれとなっているものもあります。
そういった、そもそも受付できる状態ではない申告書を優先して見つけ出し
個別に申告者に連絡を取り、何とか期限内に受付できる状態にもっていく
これらを通常の業務を行いながらこなしていくことになります。
正直なところ、受け付けた後の申告書の内容まで精査する時間は皆無なのです。
(これ以上は個人的な苦労話になってしまうのでやめておきましょう…笑)
確定申告期における税務署内では、まずはとにかく全ての申告書の受付を行うこと、
これを第一目的として動いていることはご理解いただけたかと思います。
全ての申告書を無事に受け付け、還付金等の処理を行った後、ようやく申告内容を確認する段階に入ります。
具体的には5月ごろまで申告書の後処理を行っています。
税務署の人事異動が7月であることも関係して、異動前の6月に新しい調査を始めることはほとんどありません。
つまり3月に提出した申告書の調査が行われるのは早くて7月下旬ごろになりますので
少なくとも4カ月程度は税務調査の連絡がこない計算になります。
それが冒頭でも書かせていただいた誤解を招いてしまう原因なのですね。
確かに、申告書を提出した直後に税務調査の連絡がくることはありません。
しかしそれは申告内容が認められたからではなく、
内容が適正かどうかの判断がまだ行われていないだけにすぎないのです。
そして数か月~数年のタイムラグと書かせていただいた理由がもうひとつあります。
それは、税務調査の対象となってしまった場合、過去の申告内容も合わせて調査されるためです。
通常の税務調査では過去3年分の申告書をまとめて調査します。
こちらとしては3年前に提出してすっかり認められたと思っていた申告書の内容を、数年後に調査されることになるのです。
ここでお伝えしておきたいのが、
「去年も一昨年も同じような申告をしていたのに、調査に来なかったから大丈夫だと思っていた」
と主張しても認められることはないということです。
過去の申告書であっても、仮に経費にならないものを申告してしまっていたら、
本来納めるべきであった税金とペナルティとして加算税も払わなければなりません。
では、どこまでが経費として認められるのでしょうか。
原則として、事業に関係している出費は経費として計上できます。例えば、以下のものは経費として認められます。
・税金関係
固定資産税や自動車税も、事業に利用している不動産や自動車にかかるものは経費として認められます。
ただし事業とプライベート両方に利用している場合は、事業に利用している部分を按分しなければなりません。
また、住民税は経費に含まれませんのでご注意ください。
・家賃
賃貸住宅に住んでいて、自宅で仕事をしている場合は家賃の一部を経費として計上することが可能です。
ただし全額を経費として計上することはできず、事業に必要となる分を按分計算しなければなりません。
・交通費
出張するためにかかった宿泊費やタクシーで移動した場合の出費を経費として計上することができます。
この場合、領収証を必ず保管しておいてください。
元税務署職員からのアドバイスとしては、領収証や通帳などに事業との関連を示すメモを残しておくといいと思います。
税務調査に入られたときに過去のことを思い出そうとしても限界がありますが、
こまめにメモを残しておけば後からでもスムーズに説明できますよ。
しかし中には判断が難しい出費もあると思います。
そんなときはご自身で判断せず、顧問税理士に相談することをおすすめします。
当事務所でも、税務のスペシャリストの立場からお手伝いさせていただきますので、お気軽にご連絡ください!