税務調査が入る時期はいつ?抜き打ちでもくるの?

2021-08-30

こんにちは!国税調査官の福元です。

普段からきちんと申告していても、「税務調査」と聞くと不安になる方も多いのではないでしょうか?

そんな方々のために、今日は調査が行われやすい時期と抜き打ちで狙われやすい業種などをご紹介します!

 

・税務調査のピークはいつ?

 

答えはずばり、9月から11月です。

これには税務署の年間スケジュールが大きく関わっています。

学校や市役所などの新年度が4月に始まるのは、皆さんご存じだと思います。

税務署は学校などとは異なり、7月に新年度がスタートします。

つまり、7月が税務署の異動の時期なのです。

異動が終わり新体制が整えられると、税務署内では調査の準備が進められていきます。

そしてお盆が明ける頃から実際に納税者のもとを訪れ調査を始めていきます。

そして9月から11月にかけて次々と納税者を訪問し調査を行います。この流れは年末を迎える頃に一旦落ち着きます。

年が明けると税務署内は3月の確定申告にむけて慌ただしくなっていきます。

 

3月15日の確定申告が終わるまで、調査官は納税者の対応で多忙となり、税務調査に出る件数はぐっと減ります。
ちなみに確定申告の時期は個人事業主に対する調査は行っておらず、法人に対する調査のみ行われています。

春になり、確定申告が無事に終われば通常通り調査が再開されます。
しかしこの時期は7月の異動までに調査を終える必要があるため、秋に比べると調査に出る件数は少ないです。

このようなスケジュールを考慮すると、調査官にとって9月から11月は最も調査に集中できる時期なのです。

言い換えると、時間がかかりそうな調査にもじっくり腰を据えて取り組める時期であるとも言えます。

・税務調査が長期化するってどういうこと?
じっくり腰を据えて調査をするといっても、何日も会社の事務所で調査を行うというわけではありません。

会社での調査を終えた調査官は、後日必要に応じて取引銀行で預金の動きを調べたり
、取引先を訪問し裏取り調査を行います。そこで新たに怪しい点が見つかった場合、
会社に追加で質問をしたり、資料を提出するよう依頼します。

このように不審点を深く追及していった結果

9月頭に始まった調査が年末までかかるようなケースもあります。
また、ごくまれに年末年始をまたぐ場合もあります。

・そもそも調査って抜き打ちでくるの?

税務署の職員が調査を行うとき、まずは会社に連絡を入れて日程を調整します。

ただし税理士の代理権限証書をつけて申告されている場合は、直接会社に連絡することは出来ず
税理士に連絡を取ることが決められています。

なので、実際には顧問税理士に日程の調整を依頼することになります。

ただし、業種によっては事前に会社と日程を合わせず、いきなり会社へ行って調査を行うこともあります。
特に9月から11月にかけては、通常の調査と比べ長期化しやすい抜き打ちによる調査もよく行われます。

・抜き打ち調査で狙われやすい業種ってあるの?

実は、あります。

例えば、飲食店、美容院、ネイルサロン、個人商店などなど。
これらに共通する点は『現金でお客さんからお金を受取る業種』であることです。
お店にレジがあって、直接お客さんとやり取りするような業種を
イメージしてもらうと分かりやすいと思います。

抜き打ちで調査を行うのは例外的扱いとなるため、法律にその要件が明記されています。

『事前に連絡をすることによって証拠隠滅を図られる可能性がある場合やその他、
調査の遂行に支障があると認められる場合には事前通知をしない』

簡単にまとめるとこのような内容が法律によって定められています。

銀行振込と違って、現金商売はお金の流れを後追いしにくい特徴があります。
税務署から連絡を受けた後からでも、調査の日までに売上金額を調整することが
出来てしまうと考えられるので抜き打ちによる調査が認められているのですね。

なお、税理士の代理権限証書がついていても、抜き打ち調査が行われる可能性はあります。

税務調査と現金の関係については、過去に詳しくご紹介していますので
こちらの記事も読んでみてください。

税務調査で一番チェックされる現金勘定!

 

ここでひとつ、元税務署職員としてご紹介できることがあります!
それは9月から11月の繁忙期とは関係なく、365日全国の調査官が調査の対象となる店がないか

目を光らせているという事実です。

実は、税務署内には独自のネットワークがあって全国のお店のあらゆる情報を共有しています。
調査官がプライベートでお店を利用したときに何か怪しいところを見つけた場合、

すぐに調査を行わなかったとしても、この独自のデータベースに「要確認事項」としてその怪しい情報は残されていきます。

そして全国の調査官からの不審な目撃情報が増えていくにつれ、調査に入られる確率がどんどん高くなってしまうのです。

結局9月から11月だけではなく、年間を通して気をつける必要があるということですね。
調査に入られずに秋が終わり冬を迎えたとしても、そこで油断せず普段から気を引き締めて頑張っていきましょう!

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