税務調査で一番チェックされる現金勘定!
税務調査で一番チェックされるポイントって何なの?
~元税務調査官が明かす税務調査の対策~
皆さん、こんにちは。
元国税調査官の福元と申します。
今日は以前税務署で法人の税務調査を担当していた私から、
ご商売をされている全ての方がこれだけは気をつけるべき超重要ポイントを紹介します。
税務調査対策として一番重要なポイントはズバリ「現金による売上」です。
現在はかなりキャッシュレス化が進んで、町の小さな飲食店でもQRコード決済の端末を見かけることが多くなりましたね。
しかし経済産業省が2020年6月に発表した調査資料によると、
2019年時点における日本のキャッシュレス決済比率は26.8%だそうです。
つまり日本ではまだまだ現金による決済が行われていて、税務調査官もこの事実を知っています。
既にキャッシュレス決済を導入していて、今はもう現金による売上げは少ないよという方もいるかもしれませんが、
今回の記事は1年間に1度でも現金による売上げがある全ての方に関係します。
どうして私が多くの商売人の方に今回の記事を読んでもらいたいのか。
その理由は、『税務調査官は現金に超敏感だから』です。
これは私が実際に税務署で働いた経験からの感想ですが、
調査官って普段から無意識にレジでのやりとりを見ている方が多いです。
私もお店でお金を払うときは、仕事中であるかどうかは関係なく
ついレジ打ちされているかどうかを見てしまいます。
実はこれ、調査官あるあるのひとつです。一種の職業病ですね。
そんな調査官がいざ税務調査を行うとき、何よりも先に調べるのは
「現金による取引は適正に申告されているか?」というポイントなのです。
その中でも現金による売上は必ず時間をかけて調べます。
なぜなら売上の申告ミスは調査後に納めるべき税金の金額にダイレクトに影響するからです。
しかも売上が抜けていた場合、重加算税の対象となる隠ぺい行為に該当すると疑われ、
通常より重いペナルティが課される可能性があります。
この場合、抜けていた金額の大小は関係ありません。
売上が抜けていた事実そのものが問題視されるのです。
(重加算税の計算については前回の記事で詳しく計算していますので、こちらも読んでみてください。)
では調査官はどのようにして売上が抜けている事実を把握するのでしょうか。
一例として、領収証の控えを確かめる方法があります。
例えば50枚切の領収証つづりを使用している場合、
実際に使用した枚数と残っている枚数のつじつまが合うかどうかを確認します。
30枚使用した形跡があるのに15枚しか残っていない場合、5枚足りないことになります。
これは非常にまずい状況です。
なぜなら、調査官の目には「足りない5枚に関する売上が抜けている」と映るからです。
たとえ書き損じて捨てたのが事実だとしても、
残念ながら口頭による説明だけで調査官に納得してもらうのは難しいです。
書き損じた事実を客観的に示す資料があればいいのですが、
既に捨ててしまった領収証を後から手に入れるのは不可能ですよね。
さらに悪いことに、調査官から一旦そのような疑いを持たれてしまうと、
「他にも隠していることがあるのでは?」と徹底して調べられることにもなりかねません。
具体的には、普段使っている仕事の予定表、お客さんの予約台帳、仕事の関係者とのメール、
何気なく書いたメモ、ゴミ箱の中まで、商売に関係していると考えられる、ありとあらゆるものについて調べられることになります。
調査が長期化すると本業にも影響が出てしまいますし、
出来ることなら早く調査を切り抜けたいのが本音だと思います。
だからこそ、普段から現金の取り扱いだけは特に気をつけていただきたいです。
商売をしている以上税務調査を受ける可能性をゼロにはできませんが、事前に対策を練ることはできます!
普段からきちんと現金管理を行い、特に売上については何を聞かれても答えられるようにしておきましょう。