税務調査の対象はどこまで?取引先まで調べるって本当?反面調査とは??
こんにちは!元国税調査官の福元です。
突然ですが皆さん、『反面調査』って聞いたことありますか?
この言葉、調査官からすると耳にしない日はないくらい常識となる言葉なのです
普段税務署と関係のない生活をされている方々にはなじみがないかもしれませんね。
反面調査とは、税務調査の一環として行われるものです。
今回は、税務調査を受ける前の予備知識として、反面調査の実態、対策についてご紹介させていただきます。
〇反面調査とは?
税務調査の方法のひとつです。裏取り調査と言い換えればイメージしやすいでしょうか。
調査対象者であるA社の話の信ぴょう性を確かめるために、取引先のB社からも話を聞いてみる。
これが反面調査です。
書面や電話で質問することもありますが、私は実際にB社まで行って話を聞くことが多かったです。
〇どれくらいの頻度で反面調査が行われるの?
全ての税務調査で反面調査が行われるわけではありません。
調査官が反面調査の必要性を感じた場合に限り、実施されます。例えば、次のような理由で反面調査が行われます。
◆調査に非協力的で、質問の回答が得られない
◆書類が不足していて、帳簿調査だけでは申告内容が合っているか確認できない
◆架空の取引を計上しているのではないか?との疑いがある
もしあなたが先ほどの例にあげたA社の社長である場合
反面調査の実施が決まった時点で調査の流れはよくないと思っていただいた方がいいかもしれません。
実は反面調査では、調査官は事前に相手に連絡する義務がありません。
むしろ重要な証拠を破棄されるのを防ぐために突然B社を訪問することも決して珍しくないのです。
B社からすると突然調査官が現れて驚くでしょうし、業務を中断して調査官の対応することになります。
そのせいでA社に対する印象が悪くなってしまい、今後の取引に影響が出ることも考えられます。
〇通常の税務調査より日数がかかる
反面調査としてB社を訪問しても、代表者が不在のこともあります。
この場合、改めてB社とも予定を合わせることになり、その分長く調査日数がかかることになります。
また、反面調査先がB社だけとは限りません。B社から話を聞いた結果
C社という別の反面調査先が出てくるかもしれません。
反面調査が実施されるとき、調査官はA社に対し何らかの疑問点や不審点を持っているので
これらが解消されるまで反面調査が行われることになります。
〇反面調査を行ったという事実が記録として残る
これは今後の申告や次回の税務調査に影響を及ぼします。
反面調査を行ったからといってただちに税務署からの印象が悪くなるわけではありません。
しかし、数ある申告書の中から調査対象を選ぶとき
過去に反面調査を実施している会社が目に留まりやすいのも事実です。
調査官としては、過去に反面調査を実施しているということは
次回も少し念入りに調べる必要があるなと感じるわけです。
〇どうすれば反面調査されずに済む?
反面調査をするからには何らかの原因があるとご紹介しました。
つまり、この原因をつぶしてしまえばいいわけです。具体的には以下の3点に気をつけてください。
①調査には誠実に対応する
聞かれてもないことまで答える必要はありません。
調査官からの質問や依頼に対し、淡々と対応するよう心掛けてください。
調査当日の心構えはこちらの記事で詳しく解説しています。
②書類は捨てない
「この書類、本当に捨てたらダメですか?」
今まで非常に多くの方からされた質問のひとつです。
ですが、毎回「捨てないでください」とお答えしています。
事業が大きくなればなるほど、書類が増えていき管理が大変だからいっそのこと全て捨ててしまいたい。
このように考える社長の方々のお気持ちは理解できます。
ですが、書類の保管は法律で義務付けられていると同時に
税務調査における自社の信頼性を高めるという効果もあるのです。
社長の説明の筋が通っており、さらに書類で事実が確認できるのであれば
わざわざ反面調査を行う必要はないと調査官も判断できるのです。
③架空の計上はしない
これは基本中の基本です。架空の取引を計上すれば、必ずどこかに矛盾が生じます。
調査官はそういった矛盾点を見つけ出すプロであり、数々の手口を知っています。
少しでも怪しい点があれば見逃しませんし、一旦架空の疑いが生じたら金額が少なくても
赤字の会社であっても徹底的に調べます。
なぜなら架空計上は重加算税の対象だからです。
重加算税とは、通常より高い税率のペナルティだと考えていただくと分かりやすいかと思います。
詳しい計算方法などはこちらの記事にて詳しく解説しています。
いかかでしたか?
取引先にまで話を聞きに行くなんて、税務調査って怖いなと感じた方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、基本的には対策として挙げさせたポイントを守っていただければ大丈夫です!
当事務所では普段の会計処理から
このような税務調査対策まで、しっかりサポートさせていただきます!
どうぞお気軽にご相談ください。