税務調査の注意点って何?
皆さん、こんにちは。
元国税調査官の福元です。
税務調査官として働いていたころ、調査先でよく聞かれた質問は「どうして今回うちを調査することに決まったの?」というものでした。
「たくさんの会社がある中、どうして自分の会社が選ばれたのか?」その理由は気になるし、不安にもなりますよね。
調査先を選ぶ基準は色々あります。
・売上が急激に変化した。
・接待交際費が増加傾向にある。
・前回の調査で大きな問題点があった。
・何年も税務調査をしていない。
あくまで一例ですが、私はこのような点に注目して調査先を選んでいました。
ただどんな会社であっても、いつ税務調査がきてもおかしくないと思っていてください。
他の会社と比べて売上が少ないとか、赤字が続いていたとしても調査の対象から外れることはないからです。
このままでは皆さんを不安にさせたままだと思うので
一般的な税務調査の流れと元税務調査官の目線で考えた調査当日のポイントについてご紹介しますね!
当日の心構えを知り、調査に対する不安な気持ちを少しでも和らげることができれば幸いです。
まずは税務調査初日の大まかな流れについて。
①10時ごろ調査官が会社に訪問(1~3人で来ることが多いです)
②午前中は帳簿を見る前に雑談
③昼食(調査官が一旦外出します)
④過去3年分の帳簿の内容を確認
⑤16時ごろに初日の調査終了
ここで重要なのが②の雑談です。
税務調査は、帳簿を開く前から始まっているのです。
大事なことなので繰り返します。
用意された帳簿を見るだけが税務調査ではありません。
むしろ、なにげなく交わされる雑談から税務調査は始まっています!
もう少し詳しく解説しますね。
例えば雑談の中で、趣味の話題になったとします。
ここで社長の趣味がゴルフであることを知った調査官の頭の中では
事前に頭に入れてきた役員報酬の金額と社長の家族構成
申告された利益の金額をもとに様々な検証が既に始まっています。
・役員報酬から生活費を差し引いた金額以上に趣味にお金をかけていないか?
→もしかしたら申告されていない売上があるのかもしれない!
・会社のゴルフ大会に必要以上の経費が計上されていないか?
→この後帳簿を確認するときは、ゴルフ関連の経費に特に注意しよう!
→従業員と話す機会があれば、雑談の話題として社内のイベントに触れてみよう。
調査官は、事前に申告書と決算書の数字をある程度頭に入れてきています。
そして提出された数字と会社の実態の間にギャップがないかを探っているのです。
初日の午前中で数字からは読み取れない会社のリアルな情報を聞き出し
重点的に確認すべきポイントを洗い出したうえで、午後からの帳簿調査でその内容を検討する。
これが税務調査当日の流れです。
ここでお伝えしたいポイントは、
「どんな質問であっても、慎重に答えたほうがいい」ということ。
もちろん極端に返答を拒めば逆に怪しまれるので、自然体で受け答えをしていただければ大丈夫です。
ただし、趣味の話題でつい気が緩んで自分からたくさん話してしまうといったことは避けたほうが無難です。
調査官は、社長の気が緩み饒舌になる瞬間を逃しません。
「待ってました!」と言わんばかりに、適度に相槌を入れながら気持ちよく喋らせてくれます。
そこでひとしきり語ってしまうと、完全に調査官の思うつぼです。
調査官は意味のない質問をすることはないと心得たうえで、落ち着いて対応しましょう。